2010年2月18日~2月28日に国立新美術館で開催された
第33回東京五美術大学連合卒業・終了制作展を見てきた。
●総評
デジタルとの対決から覚めて、不況只中の日本を明るくしようという全体傾向と人間だからという開き直り、10年以上前から続く鬱路線などがキリモミしてる状態だった。
全体に彩飾されたカオスといった感じが出ていたので展覧会としては大成功だったのではと思う。
今回見てきて美大とは隔絶した環境で絵を描いてきた自分には各大学の傾向が見れて非常に面白い体験だった。
やはり環境なのか師匠なのか、教わる学校で随分と人は変質するのだなとも。
変質が化学変化なのか劣化、はたまた汚損なのかはそれぞれによるが、学校ごとの勢いも見てほしい。
各作品にはキャプションを可能な限りつけている。
無いもの、取り違えたものはご容赦戴きたい。
(当方的には日本のアートシーンはもっと華やかで人に元気を与えるモノであってほしいと思うから、新しい人が画壇なんかに囚われず元気に活動できればとも思います)
●当方が感じた傾向は
★武蔵野美術大学
作品がのびのびしていてデイスプレイも面白い。
作品にバラツキがあり、個人が伸びる人とダメなひとが明確に別れて興味深かった。
粗削りだが、発想で抜きんでてたり、見る人との対話ができていた。
★女子美術大学
見せ方はよかった。作品自体の定着も良く、まとまっており、まとまってしまった感じ。
デイスプレイは個人を尊重しないキュレーターかディレクターのひどさがあり、師弟関係の厳しさ、理不尽さが良く伺えた。
まぁ、エースは優遇されてるから、とにかく抜きんでれば問題ないのかな?
★東京造形大学
展示スペースと作品ボリュームがちぐはぐでもったいない感じがした。
大学自体の政治力の無さと学生のやる気の爆発加減が一致していない感が凄い。
ある意味残念な結果になってました。
作品のキッチュな感じと前衛的なアクションは非常に良いので大学自体の方向は良いと思うんだけれど、入れ物としての大学が…
あと、キャプションの配置など大学のディレクションが下手に思えた。
作品はムサビ、女子美タマビなどのスーパーエース級がいない分地道な強さが滲み出てて泥くささがナイスでした。
(なにしろ狭すぎだ…)
★日大芸術学部
元気が少し足りない感じ、作品自体の破壊力や完成度から少しがっかり。
学校に勢いがないのかな?
筋の良い割りとイイコな感じのモノが多くオンバヒガサな感じなのかも。
強いて言えばサイズが大きく優しいものがありそれはそれで好きな感じだった。昔行きたい大学だっただけに残念かな。
★多摩美術大学
作品が多くひしめいていた。
スーパーエースが割りとゴロゴロしていてそれだけに屈折と挫折とか。
綺麗にパワフルに振る舞っているが輝けない何かを学校が背負っている感じ。
グロい、ウツウツとしている前時代的なアートからまだ抜け出れていないスピードの遅さが露呈していた。
とにかく気持ち悪い作品が多く、並びも終わりの方に見たのでインパクトより食傷気味で「もういいよ帰って」と言う感じだった。
何より作品が有りすぎて対処に困ってる学校が見えるようでツライ。
せめぎ合いの中で何か見つかる…のか?という微妙さの応えも頂いたような気がする。
まぁ、実社会はそこまでビビッドでドギツイモノを求めて無い気もするが、彼らの生命力の片鱗は充分に感じられた。
●とりあえず
ケータイとデジカメで写して来たのでケータイを先行して投稿しておくとしよう。