コピー
要するに広告紙面を飾る文章を書いているとタマに詰まる時がある。
そんな折り、色々手段を使うのだが、そのうちの一つに降霊術がある。
や、実は厳密に言うと生きてる人間を降ろすわけだ。
エア降霊術。
そしてその術を使うと、普段は自分じゃ喋らない様なボキャブラリーをそこはかとなく発揮出来たりするわけだ。
この俺がアパレルの唄い文句を1年以上書いてきたなかには、そんな怪しい手段もチラホラあったりなかったり。
で、今日も激務に平行しながら進行しているややハイソで上品を気取りたいという案件に久々詰まってしまい、12時間際と言うこともあり降ろしたり、捻ったり、あーじゃこーじゃしてたわけです。
イクツかいいのが出来てきてもうひと声!と言ったその時、降りてきてしまったんです。
「吉永小百合!」
タモリが愛した吉永小百合です。
やー楽しかった。
吉永小百合脳ですよ。
しかもサンプリングしてるのがどうやらアクオスのCMがメインらしく、出てきたコピーがヤバイ。
あの容姿と声とキャリアとスポンサーがあるから「液晶世紀」とか言えるわけで、紙が一人あるきする広告ではハゲシク危険な香を放つわけ。
斜めむかいのデキル先輩ライター(本日泊りケテイ。)曰く、深夜あたりは偽者のコピーの神様が降りてくるから気を付けろとのことだが、俺なんか、吉永小百合だよ!
ちょっとニュアンス間違えると岸朝子だ。
俺は先輩ライターに吉永小百合降霊を自慢したわけだが、あーへんなの降りてきたねー
って。
まぁ月曜の終電間際と言うこともあり、暫し液晶世紀を楽しんだあと、手に持ったエアアクオスを放り、薄紫のエア和服をかなぐり捨て、天地茂の明智小五郎みたいにベリベリっと素の自分に戻ったわけだ。
その間0.01ミリ秒(ウソ)冷静に言葉を選び、そう、スチーブンセガールのビンタみたいに性格無比にメールを代理店ディレクターに叩き込み、かつ喜び勇んで終電車なわけだ。
危うく吉永小百合コピーを選定しそうになったにわか失策はあるが、中々良いシゴトが出来たと思う。
これが偽者コピーの神様でないことを祈る。
そう、それと、くれぐれも降霊するときはサンプリングをきちんとすること。
今回は中途半端な知識と降霊技術で降ろしてしまったがためにテキトーな吉永小百合が降りてきてしまったわけだ。
例えば、朝、飯田橋駅の駅舎でジパング倶楽部のポスターに写る吉永小百合がどのメーカーの一眼を持ってるのかしげしげ見てたからとか、シゴトのシスギとかが問題な訳ではない。
そう、実際の吉永小百合はもっと素敵な言葉を話すのだろうけれど、私にはしるよしもないのだ、(その時点で降ろしたら負けだわな)
まぁ吉永小百合は広告向きでなかっただけだし、逆に人として割と普通な日本語がつえるあたり、いまとなっては誉めるに値するのだが、
まぁなんとも素敵な数十分だった。
と、
真剣な面持ちでケータイのキーを打鍵してると目の前を怪訝な面持ちの岩井志麻子に似たオネイサンがメンチを切りながら通りすぎて行った。
この時間から歌舞伎町方向に向かうのだからあながち本人かもしれないなと。
中々シビレる面持ちだった。
帰りのコンビニでンゲーまぶい女性に会う。
なぜか会釈され、はらひれふ。
今日はこのへんでー