先週金曜日、印刷の仕事でタッグを組んでいたディレクターが会社を辞めた。
悪態もつくし、言ってほしく無いホントのことをズバズバ言うひとで、会社的には面倒な人だった。
しかし、ホントの事を言うという意味で、会社の良心であり、仕事に関しては中々できる人だった。
プロパーで入社以来、20年以上会社にいたらしく、くち悪く喋るため、誉められたものではないなと本人も思っていたようだが、まぁデザイン事務所にいるディレクターであればそんなもんだろうなぁと俺は思っていた。
(今の会社の他のディレクター陣はどうしてもキャラが薄い。)
いまの会社の法人「人格」を考えると「無難で意見を言わない」感じだが「口悪く、しかし仕事きっちり」というのも、あるいはもう一つの選択肢、成れる法人格として有ったかもしれないと思うと面白い。
少なくとも多様性の一つとして先週まで彼は会社にいた。
しかし、この局面でそのディレクターが会社を追われたのが興味深い。
柔軟性や、多様性を今いる会社は捨ててしまったのだろう。
幸いな事にそのディレクターは、行き先を確保できたようだし、俺も代理店対応のノウハウの一部を教わることができた。
まぁ何にせよ、今がどうにか凌げているんだ、とりあえずお疲れ様だ。
おもえば、5月に仕事で一緒に組んだのがそのひととのタッグのはじめで、現在あるプレゼン連勝の初めの案件に絡んでくれたのは他ならぬそのディレクターだった。
コンビを組む以上、俺は駒を預け突っ走る。
俺が鵜ならアチラは良い鵜飼いだ。
Macを使わない入稿をしていた世代の生き残り。
レイアウトの考えがキッチリしている。おまけに腹が座っていて引き際がわかっている。
プレゼンには勝ったが、蓋を空けたら腐ってた仕事もあった。
中身を知った当日から始めても、どうやっても事故になるスケジュール。
絶望するほど非協力的な客先。
3週間で48ページ。
企画の内容さえフィックスしていない状態。
ノウハウや仕事としてのベースの無い編集仕事。
他数点、台紙まで作りなおし、平行進行、ロゴからの提案…。
しかーし、45万部発送して無事故で切り抜けられた。
デレクターの潮目を見る勘と俺の意地。
反響が良く、しかもノークレーム。イツモの嫌味もなし。
(刷りなおしだと億単位の負債になるそうだ。)
華々しい結末。
いま帰り道、色々考えてかえってきたのだが、イイ時間と経験が積めたと思う。
あの仕事を他のヤツが受けてチリと化すのを見てみたかったなーとも一緒に話してはいたが、それでは、えらい早く会社が折れてしまうではないかとも妄想。ニジリ折れて分解する。考えの中だから笑えることなんだろうなとも。
まぁ、バッドエンドも選択肢には有ったかもしれないが、いまはそのころの徹夜3連チャンがざら、毎日タクシー帰りだったあの日々とは決別してるのだから、それだけでもとりあえずはよしとしよう。
あとは自分の立ち位置をもう一度考えるだけ。
まあその前に面白かった日々をしばし反芻してみる。