深夜のメロス

深夜のメロスは、
クライアントに大事なメールを投げるため電気が消えていくフロアの中でパワーポイントをイジルのだ。
深夜のメロスは、
終電に乗り遅れないよう警官を振り切りひた走るのだ。
深夜のメロスは、
終電が遅れていることを宝くじを当てたかのごとく喜ぶのだ。
深夜のメロスは、
酒臭い、いちゃっく中年を掻き分け終電の中を耐えるのだ。
深夜のメロスは、
酒場のネオンやドンキホーテに脇目もふらずひた進むのだ。
例えテキトーなベッドしか待っていなくとも、
例え国家のトップが税を払わずとも、
例え給料袋に幸せな厚みがなくとも、
深夜のメロスはひた走る、
ただ自分の力を試すため、
深夜のメロスはひた走る、
ただ充実を噛み締めるため、
ゴール!
ゴールだ。
ゴールなのか…?
求めた結果を思い出せず、幾つかの傷と
歪んだ現実を手に、
苦しくはないのか?
もういいじゃないか。
否。
満足には至らず、
狼狽しながら走りだす。
気付けば深夜、
半ば惰性
半ば趣味
半ば生活
深夜は呼ぶよ
粉雪が舞う
深夜は呼ぶよ
ビル風が刺す
深夜は呼ぶよ
高層ビルに無数の明かり。

“名作文学(笑) ドラマCD「走れメロス」”
“「深夜食堂」ディレクターズカット版DVD-BOX”
“Miele 掃除機 メロンイエロー S4212MY”

※解説
深夜の終電間際は酒臭いおっさん以外にもよくよく目を凝らすといろんな人がいます。
で、終電はまだ序の口。
まだ帰れてるだけ健全で、深夜のオフィスビルには幾つかの消えない明かりが…
ブラック企業とかゆとりな表現もありますが、リミットをぶち破り振り切った仕事をするのは意外と楽しいもんで、そういうのが似合う人は世の中に実は結構います。
そのひと達をワーカーホリックとかなんとか言う向きもありますが、要は振り切る仕事のスタイルに適応できるかどうかだったりします。
体力的に、精神的に、家庭的に、金銭的に。
それらバランスがとれてないと中々振り切るのは難しい様で。
仕事を何のためやるか?なんて80年代みたいな話題ではヤリガイとかなんとか言ってましたが、スポーツでも同じですが、ある一定ラインを越えると急に楽しくなったり。
また、ダメになっちゃうヤツもずいぶんいるんだけれど、
波乗りと同じ、ダメになる前に潮時を見つけたら海から上がって焼肉でも食べに帰る算段が必要なようで。
まぁ、残念なことにダメになる場合、彼らにはもう潮なんて見えないのかも知れないけれど。
今日は終電に向かいながら、あーだこーだ感じたり考えて書いたわけです。
おいらも潮目やポジションを見定める時期かな?
(いまヤバイくらい好調なんでね)