カメラとの別れ。

ずっと使ってきた*istDsの一台目を会社の若いデザイナーに売り渡した。
幾つもの旅、幾つもの街を一緒に渡り歩いたカメラ。
シャッター数にして2万をゆうに越えた一台。
数千円で引き渡し。
多くのレンズ、多くのカメラに囲まれて暮らす、そんなメランコリーを引きずる生活も悪くない。
ただ今はその時じゃない気がする。
持ってるレンズもずいぶんサッパリした。
カメラマニアではなく、レンズを、カメラを使いこなし、なにかを伝えていく人になりたい。
そう思う。
新しい里親であるまだ若いお金の無いデザイナーは、少し使い込まれたペンタックス製のデジタル一眼を喜んで迎えてくれた。
そう言えば、僕もはじめてあのカメラに会った時、あんな顔をして喜んでいたに違いない。
当時の10分の1の価格。
当時の僕の様に喜ぶ顔。
はなむけにコシナの24mmF2.8をプレゼント。
これから頑張る彼女にはちょうどいいレンズではないか?
買うときは使い潰す気で買った一台。
ペンタックスの良くできたカメラ。
中々印象の良いヤツだ。
これからもKマウントのカメラは買い続けたい。
正直、少しブルーな気分だが、ボディが消耗品なデジタルの世界で、この別れは妥当な判断なのではないかと思う。
別れはまた新しい出会いを連れてくる。
良い絵を生むシャッターをこれからも切れることを願いながら。
(日曜日から根津の晴れ晴れ家で個展を1月開催します。詳しくはhttp://artpal.jpまで)